情報災害

情報災害について

目次




情報災害とは

情報災害という言葉は、聞き馴染みがないでしょう。普通に検索すると「災害情報」として地震、台風、河川の氾濫といった内容の記事がヒットします。しかし、今回の情報災害とは、「情報環境において、情報関連テクノロジーや、それに関わる人間という生物が引き起こす様々な災害・潜在的危険性」を意味しています。
情報災害」という言葉が未だ聞きなれない言葉であるという事実は、そこに制御不能な災害やハザード(潜在的危険性)が存在していることを我々自身が包括的に認識できていないことを意味します。

情報災害の例

自然環境が引き起こす通信障害(通信機器の故障、ケーブル断線など)

  • 太陽フレア  太陽フレアは電子情報環境特有の脅威です。
  • 地震
  • 水害
  • 火災

人間が引き起こす災害

  • トラフィック輻輳(アクセス集中)--人的ミスによる通信障害(操作ミス・設定ミス・プログラムのバグ)
  • サイバー攻撃(Dos攻撃、データ改ざん、窃取、破壊)
  • 対象を直接攻撃して機能不全に陥れる情報の流布(例:誹謗中傷)
  • 対象を間接的に機能不全に陥れる情報の流布(例:爆破予告)
  • 対象のプライバシーを侵害する情報の流布(例:監視・盗撮)
  • 戦争や犯罪の契機となる情報の流布(例:銃器や爆弾の設計図)
  • それが与える影響についての想像力を欠いた情報の流布(例:迷惑動画)
  • 事件・事故を引き起こす可能性のある情報の流布(例:フェイク)
  • 騒音、環境基本法における典型7公害(大気汚染・水質汚濁・土壌汚染・騒音・振動・悪臭・地盤沈下)の一つ

AIが引き起こす災害

  • 自動生成されたコードの論理的バグがもたらすシステム障害
  • 間違った情報、誹謗中傷の流布(人間のチェックをすり抜けた場合)

その他

  • 勤務時間外の業務連絡(メール・SNS等を用いた PUSH送信)
  • 氾濫する情報(取捨選択に時間的・人的コストを要する)
  • 誤解を与える情報(例:TVドラマの一部シーンをを現実と勘違い)
  • 必要な行動を制限してしまう情報(例:現状に合わない法律・規定)
  • 身の危険につながる情報取得(例:犯人の顔を見た、機密情報を知った)

情報災害で疲れないために

情報災害に限らず、情報過多で疲れてしまうことがあるでしょう。その解決方法は一つ。それは’’見ない’’ことです。例えば、相手のアカウントをブロックする、苦手な人を視界に入れないようにするなど、強制的にシャットアウトするのが最も有効的だと言えます。それがすぐできれば苦労しないんですけどね…

注意

現状の情報環境では、著作権侵害、迷惑動画の投稿、個人情報の流出、誹謗中傷、画像の悪用、盗撮、そして AI が暴走する可能性など、様々な社会問題を引き起こしています。また、2022年 生成系AI の登場で、すべての人が作文・プログラミング・作画・作曲を含む知的作業を超高速で実現できるようになり、その速度は高速化しています。イタズラ感覚でSNSに投稿した動画が企業に大きな損失を与え、高額の賠償請求を受けるなどの問題は、学校の情報リテラシー教育だけで防げるものではありません。誰もが銃を持てる社会と同じ状況になっているのです。その銃を用い、私刑*1を行うことも容易です。この銃口は相手だけでなく、自分にも向いていることを自覚しましょう。






*1 国家ないし公権力の法に基づく刑罰権を発動することなく、個人または特定集団により執行される私的な制裁
Last-modified: 2023-06-07 (水) 10:07:18